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2015年サシバ飛来数調査まとめ

沖縄県自然保護課と宮古野鳥の会は、寒露(10月8日)から21日までの2週間、伊良部庁舎屋上(伊良部島)でサシバの飛来数調査を実施した。これまで実施してきた夕陽が丘(松原墓地団地上)での調査は実施しなかった(理由は後述)。

 今年の飛来数は6.694羽で、去年の7.800羽を下回り調査期間中(調査体制が築けなかった2004年を除く)では、これまでの42回の調査で最少の記録であった。これで2010年代になり、2012年、2014年、2015年の3年は1.000羽に届かなかったことになる。

伊良部島では10月4日からサシバの飛来が観察され始め、10月5日3.950羽、6日5.610羽と多くの飛来が有り、調査期間前の4日間で11.090羽になった。これを加えると17.784羽になり、2000年代の平均飛来数1.5475羽とほぼ同じになる。しかし40年以上、期間中の比較をしてきたことと整合性が取れなくなるので組み入れないことにする。期間前や期間後のデータをどう扱うのか研究が必要になってきている。

今年の結果を分析すると、以下のようになる。


@ 調査期間中は、10月9日の夕方と10日の雨を除き好天が続き、北〜北西の風が強めに吹きサシバの渡りに好条件と思われた。しかし結果は、これまで最少となってしまった。渡りの条件が良すぎて、サシバの南下する群れは宮古諸島を通過して八重山諸島まで南下したかもしれない。八重山での継続的に調査データがあれば、この推測の当否がわかる。


A 今年の本土での繁殖は例年通り。渡りの通過地点(白樺峠、伊良湖、高茂岬、金御岳 名護岳の調査ではいずれも微増であり、サシバの総数が減少したとは考えられない。今年は何らかの原因(例えば地球温暖化)でサシバの渡りの時期が早まり、伊良部島での期間中の減少となったと思われる。
今年も伊良部中学校と伊良部高等学校が、調査に参加してくれました。若い中高生の参加はとてもありがたく、心強く感じます。この活動を継続し、将来の宮古島の環境を保護するリーダーになってくれることを期待します。
最後になりましたが、今年も密猟防止パトロールを実施された宮古島警察署に感謝いたします。

憂慮事項:宮古島へのサシバの飛来数が2012年703羽と1.000羽を割り、2013年646羽、2014年311羽と数を減らしている。311羽は、もちろんこれまでで最少の飛来数です。伊良部島の飛来数と比較するとそれぞれ8.2%、2.0%、4.0%であり、宮古諸島への飛来数の合計からすると誤差の範囲といえる数字です。
サシバの減少の原因は夕陽が丘(松原墓地団地上)付近での土地改良です。現状は樹木がほぼ皆伐され、土がむき出しで大型の建設機械が動き回っています。これではサシバは飛んで来ないです。土地改良の必要は十分に理解しますが、樹木を残すなどの工事方法はなかったのでしょうか。
サシバは宮古島では食物連鎖の頂点の消費者で、生態系のピラミッド構造でも頂点(アンブレラ種)です。サシバが多く渡来し、ゆったりと暮らせる状況は、人間にとっても住みよい自然環境と言えるはずです。
宮古島市は「エコアイランド」宣言していますし、サシバは市の鳥でもあります。サシバが渡来する自然環境を守る、あるいは造ることに真剣に取り組んでこそ「エコアイランド」と言えるのではないでしょうか。
また日本でのサシバの渡りの最大の中継地である宮古諸島の住民である我々は、サシバが安心して休息できる環境を整える義務があると考えます。近年、止まり木となるリュウキュウマツなどの大木が、伐採や台風で減少しています。まずはリュウキュウマツや宮古島の在来種で大きくなる木を植えましょう。

2014年サシバ飛来数調査まとめ
 

沖縄県自然保護課と宮古野鳥の会は、例年通り、寒露(10月8日)から21日までの2週間、伊良部庁舎屋上(伊良部島)と夕陽が丘(宮古島・松原墓地団地上)の2か所でサシバの飛来数調査を実施した。
伊良部島で7.489羽、宮古島で311羽の合計7.800羽と調査期間中(2004年を除く)では、これまでの41回(2004年を除く)の調査で最少の記録であった。昨年の30,000羽超と対照的なとても残念な結果になってしまった。

今年の結果を分析すると
@ 調査期間前の8月7日に伊良部島で6.188羽、調査期間初日の8日に2.547羽が観察され幸先の良いスタートだった。しかし台風19号が発生し宮古島と沖縄本島の間を通り、サシバの南下コースを逆走する形で奄美諸島、九州、四国、本州と縦断していった。その期間の10月10日〜14日の5日間、サシバは南下できなかったようだ。
A 10月15日〜18日は、台風19号で南下できずに沖縄本島や奄美列島に滞留していたサシバが南下して、宮古島に渡来したが、群れは小さかった。
B 10月19日〜21日の終盤は好天が続き、渡りの条件が良くなった。サシバの南下する群れは、宮古島を通過して八重山諸島まで南下したものと思われる。

なお今年の本土での繁殖は例年通り。渡りの通過地点の調査では増加、減少、変化なしと各地バラバラで、総じていえば例年通りである。(宮古島も8月7日の6.188羽を加えると13.988羽になり例年通りといえるが、これまでのデータと整合性が取れなくなるので組み入れないことにする。)

以上の@〜Bの理由で今年のサシバの宮古諸島への渡来数は少なかったと考える。来年には伊良部大橋も完成し、車で往来できるようになる。調査体制を万全に整え、来年に期待したい。
日本でサシバの渡りの最大の中継地である宮古島の住民である我々は、サシバが安心して休息できる環境を整える義務があると考えます。近年、止まり木となるリュウキュウマツなどの大木が、伐採や台風で減少しています。まずはリュウキュウマツや宮古島の在来種で大きくなる木を植えましょう。
今年も伊良部中学校と伊良部高等学校が、調査に参加してくれました。若い中高生の参加はとてもありがたく、心強く感じます。この活動を継続し、将来の宮古島の環境を保護するリーダーになってくれることを願います。
最後になりましたが、今年も密猟防止パトロールを実施された宮古島警察署に感謝いたします。

憂慮事項:宮古島へのサシバの飛来数が2012年703羽と1.000羽を割り、2013年646羽、2014年311羽と数を減らしている。311羽は、もちろんこれまでで最少の飛来数で、伊良部島の7.489羽からみると誤差の範囲といえる数です。
サシバの減少の原因は夕陽が丘(松原墓地団地上)付近での土地改良です。現状は樹木がほぼ皆伐され、土がむき出しになっています。これではサシバは飛んで来ません。土地改良の必要は十分に理解しますが、樹木を残すなどの工事方法はなかったのでしょうか。
サシバは宮古島では食物連鎖の頂点の消費者で、生態系のピラミッド構造でも頂点(アンブレラ種)です。サシバが多く渡来し、ゆったりと暮らせる状況は、人間にとっても住みよい自然環境と言えるはずです。
宮古島市は「エコアイランド」宣言していますし、サシバは市の鳥でもあります。サシバが渡来する自然環境を守る、あるいは造ることに真剣に取り組んでこそ「エコアイランド」と言えるのではないでしょうか。

 

宮古野鳥の会
協力:宮古島警察署
宮古島市
伊良部高等学校
伊良部中学校

 

2013年サシバ飛来数調査まとめ   2013年10月25日

沖縄県自然保護課と宮古野鳥の会は、10月8日(寒露)から21日までの2週間、伊良部支所屋上と宮古島の夕陽が丘(松原墓地団地上)の2か所で例年通りサシバの飛来数調査を実施した。

伊良部島で31,187羽、宮古島で646羽の合計31,833羽と近年では稀な好結果であった。
30,000羽を超えたのは2008年以来で5年ぶり、1990年以降では1995年の37,900羽、2008年の32,636羽に次ぐ3例目である。

ただし今年の結果だけで、サシバが増加したとは言えないことは強調しておきたい。10年〜40年の長いスパンで見るとサシバが減少していることは、データが如実に示している。

今年はたまたま、いろいろな条件に恵まれただけかもしれないので、来年・再来年と渡来数のカウントを続けて様子を見なければいけない。

今年の結果を分析すると
@ 最大の特徴は、伊良部島に10月13日(日)の一日だけで21,343羽も飛来したことである。
この数は日別のデータが確認できる1984年以降では、1985年の16,434羽を約5,000羽上まわり、最多である。

これは台風23号が宮古諸島に接近、台風24号がサシバの南下ルートを逆走するように沖縄本島・奄美列島から九州へと北上したため、南下できずに沖縄本島や奄美列島に滞留していたサシバと九州から南下してきたサシバが合流して、一気に南下したためと考えられる。
本土での繁殖状況が特に良くなったとの情報も無い。

A これまでのサシバの渡来状況は渡りの数が多くなるピークが二つか三つあったが、今年は12〜14日の大きなピークが一つだけだった。これは前半に台風23、24号、後半に台風25号の来襲があったことと、@の一日だけで21,343羽の渡来で、サシバの渡りがほぼ終わったせいかもしれない。

B 憂慮すべきことも有ります。それは宮古島へのサシバの飛来数です。今年は昨年に続き1,000羽を下まわり646羽だったことです。この数は確認できるデータでは最少です。考えられる原因は夕陽が丘(松原墓地団地上)付近での土地改良です。現状は樹木が伐採され、土がむき出しになっており、重機やダンプカーが往来しています。これではサシバは飛んで来れません。
土地改良の必要はわかりますが、樹木を残すなどの工事方法に変えるべきです。 日本での最大の中継地である宮古島の住民である我々は、サシバが安心して休息できる環境を整える義務があると考えます。

近年、止まり木となるリュウキュウマツなどの大木が、伐採や台風で減少しています。まずはリュウキュウマツなどの植樹をしましょう。
今年も伊良部中学校と伊良部高等学校が、調査に参加してくれました。若い中高生の参加はとてもありがたく、心強く感じます。この活動を継続し、将来の宮古島の環境を保護するリーダーになってくれることを願います。 最後になりましたが、今年も密猟防止パトロールを実施された宮古島警察署に感謝いたします。

沖縄県自然保護課
宮古野鳥の会
協力:宮古島警察署
宮古島市
伊良部高等学校
伊良部中学校

2012年サシバ飛来数調査まとめ   2012年10月25日

 今年は、沖縄県自然保護課と宮古野鳥の会が「サシバ飛来数調査」を1973年に開始してから40回目になる記念すべき年に当たる。調査期間以前の10月6日に約
1,000羽、7日に約2,000羽のサシバの飛来報告があり、期待が高まる中、2012年10月8日(寒露)から21日までの2週間、伊良部支所屋上と宮古島の夕陽が丘(松原墓地団地上)の2か所で例年通りサシバの飛来数調査は実施された。
結果は、伊良部島で7,917羽、宮古島で703羽の合計8,620羽飛来数で期待外れに終わった。サシバの飛来数が10,000羽を下回ったのは過去40回の調査で、2001年の8,386羽に次いで2回目ことである。
今期、サシバの飛来数が少なかった理由は、以下の三つが考えられる。
@ 台風21号が、10月10日ごろから宮古島の南方海上で停滞、その後迷走したので、サシバは宮古島へ南下できずにいたと考えられる。たとえ南下が有ったとしても、(サシバは、太陽に熱せられ発生する上昇気流を利用して渡りをするので、南下は有ったとしても少数と考えられる)、天気は雨が降ったり曇ったりで観察が難しかったので、サシバの飛来を見逃した可能性などが考えられる。その結果、伊良部島でサシバの飛来数が「100羽以下」の日が今期は10日〜18日の9日間連続した。これは史上初である。
A 台風21号は、17日に宮古島に接近し、18日には沖縄本島の近海を速度を上げ、勢力を弱めながら通過した。ほぼサシバの南下のコースを逆行していった。これもサシバの南下を妨げたと考えられる。
B 宮古島では台風21号通過後は、天候は晴れて、北寄りの風が吹き、渡りに絶好の条件であったが、南下できずにいると予想したサシバの数よりは少なかった。19日に石垣島では2,000羽のサシバの飛来を確認しているので、条件が良すぎて、宮古島を通過して八重山諸島まで南下したサシバが多くなったと考えられる。
いずれにしても、今年のサシバの飛来数が少なかった最大の原因は、宮古島と沖縄島近海で停滞・迷走した台風21号と考えられる。
サシバの数が減少したとは、今年の渡来数だけで断定するには、無理がある。しかし、最近5年間をみると2008年32,636羽、2009年25,067羽、2010年13,826、2011年10,028羽、2012年8,620羽と減少傾向にあるとは言えそうだ。
サシバのような渡り鳥にとって繁殖地、中継地、越冬地のいずれも大切です。日本での最大の中継地である宮古島の住民である我々は、サシバが安心して休息できる環境を整えようではありませんか。近年、止まり木となるリュウキュウマツやモクマオウの大木が、伐採や台風で減少しています。まずはリュウキュウマツやモクマオウの植樹を提案します。自分たちのやれることを、まずやりましょう。
今年も伊良部中学校と伊良部高等学校が、調査に参加してくれました。若い中高生がサシバに関心を持ち、学習し、生息環境の保護に取組んでくれることは、とてもありがたく、心強く感じることです。この活動を継続することを願います。
最後になりましたが、今年も密猟防止パトロールを実施された宮古島警察署に感謝いたします。

沖縄県自然保護課/ 宮古野鳥の会/ 協力:宮古島警察署/ 宮古島市/ 伊良部高等学校/ 伊良部中学校

2011年サシバ飛来数調査    2011年10月25日

県自然保護課と宮古野鳥の会は28日、2011年のサシバ飛来数調査の結果を発表した。

 今年の飛来数は1万28羽と過去5年間で最も少なく、調査を開始した1973年から38年間(2004年を除く)の平均飛来数約2万7000羽の3分の1程度にとどまった。 

 飛来数の急激な減少の要因として、繁殖地(本州東北以南)の全般的な環境の悪化に、3月11日に発生した東日本太平洋沖地震による津波、近畿地方の大雨などが繁殖地の環境悪化に追い打ちをかけたことなどが挙げられる。

 繁殖地で生まれた幼鳥はこの時期、成鳥とともに越冬のため南下するが、調査期間中、宮古島上空で幼鳥がほとんど観察できなかった。

 県自然保護課、市、宮古野鳥の会の会員らが7日から20日までの2週間、市伊良部庁舎屋上と宮古島の夕陽が丘(松原墓地団地上)で飛来数の調査をした。伊良部中高の生徒も調査に参加した。

20010年度サシバ飛来状況総括

2010年10月7日から20日までの2週間、伊良部総合庁舎屋上と宮古島の夕陽が丘(松原墓地団地上)の2か所で例年通りサシバの飛来数調査を行い、伊良部島で8,657羽、宮古島で1,371羽の合計10,028羽がカウントできたこれは過去38年(2004年を除く)の平均27,195羽のおよそ三分の一であり、最近十年間で最も少ない。


今年の特徴は:
@ サシバの飛来数「0」の日が伊良部島で3日、宮古島で8日もあった。
A 16日(日)に伊良部島で5148羽、宮古島で776羽が集中して飛来した。例年なら飛来数のピークは2回あるが、今年は1回だけだった。


飛来数が少なかった理由として、期間中の8日間は多少なりとも雨が降り、南寄りの風の日もありサシバの渡りに不向きの日が続いたことと、雨が降ったり曇ったりで観察が難しかったのでサシバの飛来を見逃した可能性などが考えられる。


しかし、この4年間で2008年32,636羽、2009年25,067羽、2010年13,826、2011年10,028羽と急激に減少していることから、上記以外の理由も考えられる。宮古諸島や沖縄本島などの中継地の環境の変化は小さいので、繁殖地の環境変化などが考えられる。繁殖地は近年の自然(繁殖)環境破壊と今年3月11日に発生した東日本太平洋沖地震と津波で関東地方から東北地方は壊滅的な被害を受けた。また、近畿地方も大雨により被害を受けた。これらの自然災害が、悪化する繁殖環境に追い打ちをかけたと考えられる。その現象を裏付けるかのように、宮古島で渡りの観察中、幼鳥はほとんど観察できなかった。
来年は繁殖地の環境が回復し、渡りのルートの天候が良く、順調に渡りを続けられ、宮古の空にも多数のサシバが舞う光景を見させて欲しいものだ。


今年も伊良部中学校と伊良部高等学校が、調査に参加してくれました。若い中高生がサシバに関心を持ち、その生息環境の保護に取組んでくれることは、とてもありがたく、心強く感じることです。是非、来年以降も続けてください。
最後になりましたが、今年も密猟防止パトロールを実施された宮古島警察署に感謝いたします。

2009年度サシバ飛来状況総括 (2009年10月24日)県自然保護課・宮古島市・宮古野鳥の会

1) 過去4年間(2005年〜2008年)の平均飛来数は22,223羽である。今年は25,067羽をカウントした。いくらか個体数の変動はあるもののほぼ例年通りの飛来数である。 2)日本列島で繁殖したサシバは、そのほとんどすべてが秋の渡り時に南西諸島を通過する。宮古への飛来数が日本列島で繁殖したサシバのおおよその総個体数だと考えられる。ただ、サシバの渡りの幅は帯状になり約100Kmにも及ぶと考えられるので宮古でのカウント見落としも否めない。言えることは今年の日本のサシバの総個体数は最低25,000羽以上であるということである。

3)サシバの渡りは気象条件によって大きく左右される。今年は前半、気象条件が大変に  渡りに適していたので、私達のカウント以前(10月1日〜10月7日)にサシバの渡りが  あった可能性もある。

4)宮古へのサシバの飛来は南西諸島にかかっていた寒冷前線が大陸からはりだした高気  圧によって東方海上へ移動し、南西諸島がその高気圧にすっぽりと覆われ、風向きが  北よりの風に変わったときに多くなる。例年サシバは10月10日前後、10月15日前後、10月18日前後に三回のピークをつくる。今年は大陸性高気圧に覆われた状態が長く続き 10月10日、10月12日、10月17日にそのピークをつくった。

5)鹿児島県の南部地域ではこれまで見られなかった越冬サシバが100羽以上確認されて  いるという。今後はそのことも踏まえ、宮古へのサシバ飛来のピークが地球温暖化に  よって前半にずれてこないかどうか等も詳しくチェックしたい。

6)宮古野鳥の会では県自然保護課とタイアップして毎年、サシバのカウントを行っている。これは日本では例を見ない画期的な取り組みである。あちこちから高い評価を受けている。環境のバロメーターになり得るある特定の渡り鳥をカウントすることによって、その年の繁殖地の状況、繁殖の実態、繁殖と人間活動との関わり等が浮き彫りにされるからである。このカウントは将来必ず貴重な環境資料として役立つものと確信している。 そのカウントで有名なスポットがアメリカのペンシルバニア州のホークマウンテンである。この観察地では1934年からタカのカウント調査が行われているという。そのデータは1950年〜1960年代 にかけてDDTなどの化学薬品の危険性を訴える際に大きな力を発揮したことで有名である。

2007年サシバ飛来数調査    2007年10月24日

2007年10月9日(寒露)から同22日までの2週間、県自然保護課が宮古島市の協力を得て伊良部総合庁舎屋上で、宮古野鳥の会が宮古本島の夕陽が丘(松原墓地団地上)でそれぞれサシバの飛来数調査を行い、今年は伊良部島で13,473羽、宮古本島で2,045羽の合計15,518羽が観察され、飛来数は過去5年の平均からすると余り大きな変化はない。

日別の飛来傾向は06年は調査開始の日に本格的なピークがあったが、今年は台風の余波で調査初日の9日は湿った南風で飛来数は少なかった。12日ごろからサシバの渡りに適した北から北東からの風にかわった。12〜14日にかけて両島あわせて11,000羽を超える飛来数が確認され、これが今調査期間のピークになった。時刻別に見ると、例年通り午後3時以降が多い。

また、同期間中に宮古島警察署が密猟防止パトロールを行い、何件かの通報はあったものの、摘発・指導には至っていない。宮古島署は調査期間終了後も警戒を続けていくとのことである。

1973年から始まった飛来数調査は今年で35年になった。年により多少の増減はあるものの、飛来数は調査開始から年々減少し、過去5年間は平均15,000羽程度で推移している。宮古本島では今年の調査期間中に飛来した個体は成鳥が目立ち、幼鳥が少なかった。これは本土や中国など繁殖地の環境劣化が原因ではないかとの指摘もあり、懸念される点である。

沖縄県自然保護課:  宮古野鳥の会   協力:宮古島警察署

2006年サシバ飛来数調査

沖縄県自然保護課(伊良部地区)と宮古野鳥の会(宮古本島・松原)が10月8日から21日までの2週間、宮古島に飛来するサシバのカウント調査を実施した。今年は総飛来数が21,004羽と、1999年以来7年ぶり20,000羽を超えた。内訳は伊良部地区の総飛来数が18,941羽、宮古本島(松原)が2,063羽。

過去5年間の資料では、カウントを開始する寒露の2日後ごろから飛来数が増加する傾向があるが、今年は調査を始めた8日と9日に伊良部地区で3,000羽、宮古本島(松原)で9日には1,000羽を超える飛来数が確認されるた。調査開始の初期に本格的な渡りが観察されたことが特徴的で、調査期間中、1日の飛来数としてはこれを超える数は両地区とも観察されていない。台風や前線などの影響もなく好天に恵まれたことが早い時期からの飛来につながったと見られる。1995年から2005年までの10年間(2004年を除く)の飛来数の平均がおよそ18,500羽という数から見ると、2006年も平均的な飛来数となった。

飛来数調査期間中の10月8日から21日、伊良部地区を中心に宮古島署が「サシバ密猟防止のためのパトロール強化」行った結果、同地区ではサシバを密猟するための道具などを所持していた者に対して2件の指導・警告を行い、密猟を未然に防止した。

沖縄県自然保護課:  宮古野鳥の会   協力:宮古島警察署

2005年サシバ飛来数調査

10月8日(寒露)から14日間、21日までに伊良部島(伊良部総合支所屋上)及び宮古島(久松)で県自然保護課、宮古野鳥の会がそれぞれ飛来数を調査した。
今年カウントされたサシバの飛来数は総計で19,733羽だった(伊良部:17,551羽、久松:2,182羽)。1994年から2003年までの平均飛来数は約22,000羽で、今年もほぼ平均的な数字だったことから、サシバは岩手県、秋田県から九州までを繁殖地とするが、今年の繁殖期はその地域の環境の大幅な劣化・悪天候による繁殖への影響は少なかったと推測される。
例年は調査期間の前半と後半にそれぞれ飛来数がピークを示すが、今年は調査開始時から15日の悪天候を除いては連日観察することが出来た。調査期間で天候の影響以外でピークが大きく2つに分かれなかったのが今年の飛来パターンの特徴と言える。
総体的には、カウント調査が始まった1973年からの飛来数は右肩下がりで、年による増減はあるものの、過去30年間では個体数の減少傾向を示している。

なお今年は伊良部、下地島で宮古島署が5人に指導・警告をし、密猟用の竿1本を押収した。昨年は同署の取り締まりの結果、指導・警告19件、03年は2件だった。
添付資料有

2005年10月25日   沖縄県自然保護課  宮古野鳥の会    協力:宮古島警察署  宮古島市 

2003年サシバ動向
調査結果
・ 期間中に伊良部町役場屋上で9,060羽、平良市久松で1,233羽、合計で10,293羽を確  認した。
・ 昭和48年(1973年)から約30年間飛来数調査を実施しているが、直近の10年間の平均 は約21,000羽。今年の飛来数はその平均を大幅に下回る結果となり、平成13年(2001 年)に記録した8,400羽は越えたものの調査史上2番目に少ない数に終わった。 
・ 調査開始から1週間は前線が九州の南岸あたりに停滞していたため、これがサシバの 南下を阻んでいたと推測される。しかし、天候の回復とともに飛来数は増え、10月16日 (木)、17日(金)にピークを迎えた。特に17日に最大飛来数3,928羽を確認している。 この2日間の飛来数が全体の約7割を占めている。

考察
・ 昨年度に比べ、数が減少したことについては、繁殖地で冷夏が続き、餌不足など繁殖 地の環境が整っていなかったと思われる。
・ 今年は、渡りの時期とカウントの時期がずれた可能性がある(10月1日から渡りが確 認されており、また4、5日頃多数の群の飛来が確認されている)
7.その他
10月9日 サシバ保護広報パトロール
(沖縄県、伊良部町、平良市、伊良部交番署、宮古野鳥の会、沖縄県猟友会宮古支部)
10月10日 サシバ保護集会、サシバ保護広報パレード(主催:伊良部中学校)
10月12日 サシバ観察会(主催:宮古野鳥の会、場所:平良市)
10月15、16日 密猟防止合同夜間パトロール(沖縄県、伊良部交番署、宮古野鳥の会、沖縄県猟友会宮古支部)
1998年サシバ動向

飛来数が102.000羽余と1973年調査開始以来最も少なかった。
98年10月8日調査開始から21日までの2週間の累計で伊良部島で
9.080羽、宮古島が3.041羽で合わせて12.141羽と97年の半数
以下に減少した。
野鳥の会では、調査開始期間中に襲来した台風10号の被害を受けた
可能性もある。また調査終了後の22日に一千羽が確認されており、
調査終了後の飛来も考えられる。一方、98年も一万二千羽と少ない
ことから渡りのルート変更か、という見解もある

サシバは分類学上は脊椎動物門(せきついどうぶつもん)、鳥綱(ちょうこう)、ワシタカ目、ワシタカ科、サシバ属に分類されます。秋田県以南に夏鳥(春に繁殖のために、日本に渡り、秋に寒い冬をさけて、温かい南の島々に渡る鳥)として渡来し、低い山や、丘陵地帯(きゅうりょうちたい)の森林で繁殖します。沖縄の島々、特に宮古諸島に大群で立ち寄るのは秋の渡りの時です。国外では中国東北部や朝鮮半島北部で繁殖します。秋に繁殖地を飛び立ったサシバはほとんどが東南アジアや中国南部で冬を越します。 繁殖は年に一回で5〜6月です。卵は2〜4個産みます。抱卵日数は約30日です。約2ケ月かかって成長します。主な食べ物はネズミ、トカゲ、カエル、ヘビ、バッタ類です。 雄は羽が赤銅色で頭部が灰褐色を示し、雌は灰色味がなく、頭部も羽色も暗褐色です。雌の方が雄に比べていくらか大きくなります。幼鳥は目の色は黒みがかった青色ないし青褐色をしていますが成長するにつれて赤みの強い黄色やあざやかな黄色に変化します。また胸の縦じまも横じまに変化します

繁殖地の本土では、8月下旬から9月中旬にかけて渡りの準備がはじまります。この頃には、数羽のサシバが低い山の上空を忙しそうに飛び回っているのをよく見かけます。渡りの衝動がだんだん高まっていくものと考えられます。 9月下旬になると、本土のあちこちからサシバが南の方へ渡って行ったという情報がはいります。渡りのコースについてはまだまだ不明な点が多いが、これらのサシバの一部は日本における第一番目のサシバの集団通過地点、松尾芭蕉が「タカ一つ見つけてうれし伊良湖岬」と詠んだ愛知県の伊良湖岬を通り、第二番目の集団通過地点、鹿児島県の佐多岬に集まるものと推定されます。
宮古野鳥の会顧問 久貝 勝盛氏